少し時間が経ってしまいましたが、いさ哲郎の6月議会での一般質問の全文と、それぞれの質問の答弁を掲載します。答弁の部分はイタリック(斜体)紺色です。後ほど、質問の意義(意味)と答弁についてひとつづつ解説していきます。
また、この議会より本会議一般質問のネット中継と録画のネット公開を初めています。私の質問の動画は以下リンクにあります。4番目に私の顔写真があります。右の再生ボタンをクリックしてください。(ブラウザによっては開かない模様です)
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2020年第2回中野区定例区議会 一般質問案
2020年第2回定例区議会において、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。質問の冒頭に、新型コロナウイルスで亡くなられた皆さんに哀悼の意を表するとともに、現在闘病されている皆さんが一日も早く健康を取り戻すことを祈念いたします。
1.コロナ禍を踏まえた防災の取り組みについて
▼最初に、コロナ禍を踏まえた防災の取り組みについてお聞きします。50日間続いた緊急事態宣言が解除されました。しかし今後のコロナ感染については楽観が許されない状況です。北海道や北九州市でも感染の第二波が来ていると言われており、全国どこでもこの先の第二波、第三波を想定した備えが求められていることは、複数のメディアが報じる通りです。現在のコロナ禍の状況で大規模な自然災害が発生したらどうなるか。今自治体に求められていることの一つが、コロナ禍を前提とした新たな防災対策です。これから日本は夏を迎えます。この時期には台風やゲリラ豪雨などの風水害の懸念が増大します。昨年夏、関東近県において2つの台風による大きな被害が出たことは記憶に新しいことです。2018年8月の都心部でのゲリラ豪雨では中野駅南口からガード下にかけて内水氾濫が発生しています。また、ここ数か月では近県で地震が頻発しているところです。首都圏を巻き込む大型地震もいつ来るかわかりません。新型コロナのような世界規模の感染症の蔓延のもとで大規模な自然災害が起き、複合災害となるなら、これまでの防災の考え方は通用せず、一層被害が甚大になることが懸念されます。
5月29日、政府の中央防災会議は新型コロナの感染拡大を踏まえ、防災基本計画を修正しました。3密を避けるため、避難先としてホテルや旅館の活用を検討するなど、感染症対策を推進することを新たに明記しました。これは地方自治体が作る地域防災計画の基礎となるものです。伺います。国の防災基本計画修正に合わせ、中野区地域防災計画をはじめとした、災害対策の指針やマニュアル、避難時のマニュアルなどに、新型コロナのような感染症が発生している場合について「早急に」盛り込むべきではないでしょうか。①特に、避難者の密集する避難所の管理をどうするのか、避難所で感染者が出た場合など詳細な手引きが必要です。こういった判断を現場まかせにする訳にはいきません。これは、災害対策本部や帰宅困難者のための情報提供ステーションなどでも同様です。緊急時の対応にあたる職員を感染から守る手立ても必要です。
また、防災備蓄物資の中には既にマスクと手指の消毒用アルコールがありますが、加えて、ハンドソープ、ドアノブや什器の消毒液、非接触型体温計など感染症対策の物資も含めるべきと考えますがいかがでしょうか。②一時避難所も広い場所ではありません。感染のリスクを低減させる手立てをとるべきです。
A.最初に、コロナ禍を踏まえた防災の取組について、地域防災計画などの見直しについてです。今年度改定予定である地域防災計画には、新型コロナウイルス感染症などの新興感染症に対応した区の災害対策体制全般や対応方策を盛り込むことを検討しております。また、関連する避難所運営マニュアルなどについては、新型コロナウイルス感染症に対応した具体的な避難所運営や必要な感染症防止対策といった具体的な内容を盛り込むなどを検討しているところでございます。次に、感染症対策物資の備蓄についてでございます。新型コロナウイルス感染症対策として、避難所にマスク、手指消毒液、次亜塩素酸ナトリウムを増強するとともに、新たに非接触型体温計、ゴーグルマスク、手袋など、防疫装備を配備する予定でございます。
2.コロナ感染症拡大の元でのセーフティネットの強化について
次に、コロナ感染の元でのセーフティネットの強化について伺います。
▼最初に住民税について伺います。先の区民委員会では、住民税の徴収猶予が330件余に上ることが報告されました。現行の制度の中に徴収猶予以外に減免の制度もありますが、減免の要件の中には 「退職、解雇、廃業等の理由により所得が皆無となり、又は著しく減少」というものもあります。となると、コロナの影響を理由とした減免についても検討が可能かと考えますがいかがでしょうか。①そもそも徴収を猶予しても、今後の経済動向を鑑みるに、それまでの収入を回復できないという方も相当数出てくるものと考えます。実態に見合った柔軟な制度の運用を求めます。
▼次に国民健康保険について伺います。昨日の区民委員会において、国民健康保険および後期高齢者医療制度の傷病手当金支給制度の質疑がありました。これは協会けんぽ、いわゆる社保には既に存在する傷病手当が国保において初めて実施されるもので、歓迎するものです。
しかしながら、この制度の対象にフリーランスや事業主が含まれないことは改善すべき課題です。フリーランスも持続化給付金の対象になりましたが、事業主にせよフリーランスにせよ、売上50%減という条件に合わない場合はどちらの制度からも外れてしまいます。岐阜県飛騨市や鳥取県岩美町では自治体の判断で個人事業主も対象とする制度としています。個人商店やフリーランスの多い中野区こそ、今後は、被用者以外にも対象を広げた制度として検討すべきと考えます。
ここでは、この間、厚生労働省から示された、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した方の国保料減免についてお聞きします。国が制度の全容を示していないことから、区の申請開始時期については未定であると担当から伺いました。しかしながら、区民の皆さまに国保料納付書が届く時期を迎えており、一刻の猶予もありません。私のもとにも「アルバイトのシフトが減らされて国保料が払えない、減免はどうしたらいいのか」 「店を閉めており無収入、支払おうにも手元にお金がない」 などの深刻なご相談が来ています。コロナを事由とする国保料減免の制度は今すぐ必要です。まずは区が申請受付を開始し、制度の詳細を確認・分析後に国の制度とすり合わせる処理を行う、こういったやり方は検討できないでしょうか。②国が財政支援を明らかにしている制度ですから、一時的に区が持ち出しをすることも含め前向きに検討すべきと考えます。
本年第1回定例区議会においてわが会派の小杉区議が質問した短期証と資格証についても改めてお聞きします。横浜市で資格証に続き短期証も発行をゼロとしたのは、資格証や短期証は滞納者への事実上のペナルティであり、そのような強権的な措置をしても保険料の収納率はたいして上がらないこと、滞納者の方は本当に保険料を払えない状況にあり悪質なケースがなかったこと、むしろ短期証・資格証の発行とその後の対応に職員の力がとられ本来業務に差し支えが生じたことなど、極めて合理的な理由によるものです。先も述べたような経済的に困窮される方が増える中、医療を受ける権利を守ることが求められます。コロナ感染を克服するまでの時限措置として、滞納者への短期証・資格証の発行を見合わせることを検討すべきではないでしょうか、伺います。③
今少し述べた相談業務の増加についてもお聞きします。これから先、一層の相談業務増は避けがたいことです。区は第一次補正により、国保窓口業務の会計年度任用職員を4名増員する計画です。大事なことではありますが、この先の相談業務の増加と人員増が見合うのか、これはまだわかりません。現在の見立てよりも業務量の増加が上回るような場合には、当然新たな人員の確保が必要となると考えます。現場をよく見ること、状況に応じて人員の確保も柔軟に行うことについて区はどうお考えでしょうか。④
滞納者への督促状や催告状についてもお聞きします。催告状には現在でも「保険料の納付が困難な方へ」というお知らせ文が掲載されています。先ほどお尋ねしたコロナの経済的影響による減免制度について、新たな制度が存在することを督促状や催告状に記載すべきではないでしょうか。⑤
▼生活保護についても伺います。今年は猛暑の予想が出ています。風水害の前に猛暑そのものが災害レベルになっていることを改めて思い出さねばいけません。2018年の猛暑では、6月~9月の三か月で熱中症による救急搬送者数は約92,600人と平年の倍でした。この夏は暑さを逃れるため図書館などの公共施設へ多くの人が集まりました。当然、コロナ禍のもとで人が集まることは感染リスクとなります。こういう状況をさけるためには、自宅の冷房を活用してもらうことが肝要です。
中野区は、2018年4月以降の新規の生活保護世帯について、エアコン費用を負担することとしました。しかしそれ以前に既に生活保護を受給している世帯は対象外で、このことは会派としても解消すべきと取り上げてまいりました。改めて伺います。すべての生活保護世帯にエアコンを設置する費用を導入すべきと考えますがいかがでしょうか。⑥
そもそもこの時に公共施設に人が集まった理由は、自室にエアコンがあるかどうかではありませんでした。いくつかのメディアが報じていましたが、エアコンをフル稼働させることで電気代が高騰することを避け、日中はできるだけ公共施設で過ごした、という方が少なくなかったとのことです。新型コロナの感染拡大を防ぐためにも、兎に角自宅の冷房を使ってもらうこと、そのためにも生活保護世帯の電気代分を夏季加算として上乗せすべきと考えます。区の認識 を伺います。⑦
自宅でのエアコン利用促進についてもうひとつ伺います。夜間の気温が25度を下回らない状態を熱帯夜と呼びますが、夜間の気温が28度以上では、寝ている間に熱中症になり、死に至る人も出始めると言われています。この気温28度以上の夜を気象予報士の森田正光氏は「地獄夜」と呼んでいますが、東京ではすでに地獄夜は当たり前、2013年辺りからそれを通り越して30度以上の「スーパー地獄夜」になっていると指摘しています。
2018年7月の猛暑の折に本町4丁目で亡くなった60代の生活保護受給者男性の例では、遺体発見当時、エアコンが設置されていたものの使われておらず、窓が開いている状況でした。この男性は、亡くなる直前に近所の方にエアコンが故障していることを話しています。ちょうど1週間ほど連日の酷暑が報道されていた時期です。死亡推定時刻は発見時の前日の夜とのことで、冷房が使えないまま、地獄夜の中で熱中症となり、そのまま亡くなった可能性が否めません。生活保護世帯にはまず蓄えはありませんので、エアコンの故障のような急な出費には対応ができません。コロナ感染と熱中症から命を守るためにも、生活保護世帯のエアコン修理費用や買い替え費用の支給を検討すべきです。⑧
今年はマスク着用のまま迎える歴史上初めての夏です。呼吸にはそれだけで体温を下げる機能がありますが、マスク着用により熱がこもり熱中症の危険が高まることは既に報道されているところです。コロナ禍のもとではエアコンの重要性はこれまでと全く異なることを強調し次の質問に移ります。
A.新型コロナの影響を理由とした減免についてでございます。住民税の減免対象には、所得が皆無となったため、生活が著しく困難となったもの、またはこれに準ずると認められるものが対象となります。新型コロナウイルス感染症の影響による納税相談につきましては、感染拡大防止のための措置に起因して、著しい収入、売上げ減や失業、事業の休廃止による納税困難者が多数想定されていることから、相談者の生活状況などを十分確認した上で、減免の要件を踏まえて適切な対応をしてまいりたいと考えております。
次に、国民健康保険料の減免申請の受付開始時期についてでございます。国から示された減免制度の基準は複雑であるため、一定程度の確認、分析が必要と考えております。国の基準と異なる減免措置を行った場合に、その措置については国の財政支援の対象外となり、区が財源補填することになります。制度の確認、分析に先立ち申請受付を開始した場合は、追加資料の提出を求めるなど申請者に負担を強いるおそれが生じるとともに、対象とならない申請が大量に発生することも想定されます。この減免制度につきましては納期限経過後も遡及して申請が可能であることですから、受付開始時期が遅くならない範囲で一定程度の確認、分析をした後に開始をしてまいります。
次に、滞納者への短期証、資格証の発行を見合わせることについてでございます。現時点で短期証、資格証明書を交付されている世帯は、新型コロナウイルス感染症が発生する以前に国民健康保険料を滞納したことによって交付されている世帯でございます。短期証は、医療機関を受診する際の医療費の窓口負担割合は保険証と同様であって不利益になることはございません。資格証明書につきましても、発熱症状等新型コロナウイルス感染症の発症の疑いのある方が医療機関の帰国者・接触者外来を受診するときなどにおいては、資格証明書の提示によって保険証を提示した場合と同様の窓口負担割合で受診することができます。国民健康保険は相互扶助の仕組みであり、公平性の観点からも、国民健康保険料を滞納している世帯に対して短期証、資格証明書の発行を見合わせることは考えておりません。
次に、国民健康保険の業務量の増加に応じた人員の確保についてでございます。新型コロナウイルス感染症への人的な対応につきましては、第1回臨時会で補正予算の議決をいただいております。新型コロナウイルス感染症は過去に経験したことのない事態でございまして、今後、国民健康保険の業務量が想定を超えた業務量になることも想定されます。現在、区全体として事業の見直しを行っているところでございますが、このことによって人員配置の見直しを行い、必要な業務に必要な人員の確保を図ってまいります。
国民健康保険の催告書や督促状への減免制度の記載についてでございます。催告書及び督促状の納付書の様式は継続的に使用するものであって、また、公金収納の取扱いからも様式そのものの変更は困難な状況でございます。減免制度につきましては、催告書及び督促状を発送する際に同封するお知らせに入れられるように検討してまいります。
次に、全ての生活保護世帯にエアコン設置費用と夏季加算の支給という御質問です。生活保護制度は第一種法定受託事務でございまして、全国一律の基準により実施しなくてはならないものでございます。区としては、エアコン設置費用や冷房に係る経費に対応する夏季加算を支給対象とすることについての必要性は認識しており、東京都を通じて国に対して制度改正の要望を出しているところでございます。次に、生活保護世帯のエアコン修理費用や買い替え費用の支給でございます。現在の生活保護制度では、生活に必要な電気製品等の修理や買い替えに備えて、基準生活費の6か月分を上限として計画的に貯蓄を行うことを認めておりまして、ケースワークの中で適切な助言を行ってまいります。
3.コロナ禍におけるまちづくりについて
▼コロナ禍におけるまちづくりについて何点か伺います。最初に地域の賑わいを守る取り組みについて。区はこのコロナ禍において3種類の事業者向けの特例貸付制度を新設しました。既往の借入金があっても別口で借りられることや、区が利子補給して実質の利子をゼロにするなど、事業者にとってのメリットが大きく、区内商店の皆さんの資金繰りの支援をするうえで重要でした。しかし一方で、手続きに時間がかかること、信用保証協会の審査が通らず借りられないケースが少なくないことなど、制度の使い勝手についてのご意見も少なからずいただいています。そもそもこの先の見通しも立たないのに、返済を前提とした貸付では噛み合わないとの厳しいお声もありました。区内事業者の皆さんを守るためには、更なる支援が必要です。
この間私は、地元の商店・飲食店の事業主さんに制度をご紹介したり申請方法についてお伝えする中で、沢山のご相談をお聞きしてきました。国と都の制度について、給付が遅い、来なければ店をたたむしかないとのお声も少なくありませんでした。今困っている事業者の皆さんにとっては今このタイミングで何等かの支援が欲しいとのご要望が強く、区がこの声にどう応えるのかが問われています。そういう商店街の皆さんからの声でも多かったのが店舗の家賃補助です。家賃が払えなければ廃業しかなく、歯抜けになった商店街は廃れていきます。
国において、5月27日に閣議決定した第2次補正予算により、中小企業や個人事業者の家賃負担を軽減する「家賃支援給付金」が創設される運びとなりました。しかしながらこの制度は、前年同期と比べた売上高が5月から12月の間に1カ月でも50%以上減少するか、連続する3カ月の合計で30%以上減少することが条件です。この条件に満たない事業者が漏れてしまうことに加え、給付が非常に遅くなる懸念があります。5月以降の売上での判断となるため、「1カ月に50%以上の減少」の場合でも、報道されている通り、受付開始が6月末、支給は7月以降となります。「連続する3カ月の合計で30%以上減少」の場合は、最速の場合の5、6、7月の売上減でも受付開始は翌月8月、支給はその後、ともすれば9月以降です。これでは間に合わない事業者が出てきてしまうのではないでしょうか。
先ほども述べたように「今」事業者を支援することが求められている中、区が率先して事業者の声に応える支援策として区独自の家賃補助を検討すべきです。茨城県高萩市では、市の独自事業として、売上が20%以上減少した小規模事業者に対し、用途を感染防止と家賃の支払いに限定し最大30万円の補助金を出す制度を既に決定しています。また町田市は、売上の15%以上の減少を条件とし、40万円を上限に2カ月給付をする制度、狛江市では、国の貸付を受け店舗を賃借している事業者に上限30万円の給付、武蔵野市では都の感染拡大防止協力金対象外の事業者に対し30万円の給付、足立区では申請事務の社労士への委託費用の助成など、他の自治体では既に独自の支援策が打ち出されています。中野区においても、他の自治体で実現しているような区独自の支援制度を検討し速やかに実施すべきではないでしょうか。伺います。①
また、ある商店街でお話をお聞きしたところ、商店街全体で事務所や会議スペースとして使える場所が欲しいとのご要望をいただきました。この商店街では、商店会長さんの私的な事務所に放送設備や照明のスイッチ類などを集約しており、こういったものも、商店街の事務所のようなものがあればそちらで運営できるのだけれど、と、こぼしていらっしゃいました。商店街での事務所機能の支援策、放送設備の管理費や照明の電気料金など、具体的にいただいたご要望の検討の余地について伺います。②
また、こういうご要望は商店街ごとにそれぞれの事情もあり一様ではないかと思います。区としては、これまでも聞き取りや支援について様々着手してきたことかと思いますが、コロナを経て、改めてご要望を聞き取り支援策を検討することについて、区の認識を伺います。③
▼次に、中野駅周辺まちづくりについて伺います。今般のコロナ禍のリモートワークや様々な自粛により、これまでの仕事の仕方やライフスタイルそのものを見直すきっかけとなったという報道やSNSでの投稿を散見します。当然このライフスタイルの変容は消費行動に結びつきます。また、経済の大きな落ち込みは、やはり私たちの暮らしそのものを大きく変えることとなります。コロナ禍により社会全体で消費する力が弱まっていることは言うまでもありません。5月31日付の日経新聞によると、2020年の中小企業の休廃業や解散は推計で5万件とのことです。雇用の7割が中小企業であることから、失業が急増する懸念が高まっています。また、小規模商店だけでなく、百貨店や大手スーパー、コンビニなども店舗を大幅縮小させています。コロナを克服した先に、これまで通りの社会、これまで通りの経済活動を取り戻せるのかというと、そうはならないのではないかという見方が、世界中の多くの知識層、専門家から指摘され始めています。
当区の計画に視点を戻すと、 「中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画」 において、区役所サンプラザ周辺の拠点整備の方針が示され、議会でも議論が続いているところです。この再整備事業計画には拠点施設整備のコンセプトについて3点記述されていて、一つ目では「中野サンプラザのDNAを継承した、新たなシンボル拠点をつくる」としており、二つ目にある回遊性やにぎわい交流などもこのシンボル拠点を中心に考えられています。 こういった計画が「コロナ後」の世界に通用するのか。今このことが突き付けられているのではないでしょうか。
コロナを経た、価値観が変容し新たなライフスタイルが根付いていく社会において、また大きなダメージを負った日本経済において、これまで想定してきたようなインバウンド政策が成り立つのか、企業の誘致が本当に必要なのか、今一度立ち止まって考えなければいけないのではないでしょうか。コロナを克服した先にあるのが今まで通りの社会でない前提で、土台からまちづくりの計画を練り直す必要に迫られていると考えますが、区の認識を伺います。④
そもそもインバウンド政策は、区外からの来客数を増やすことを前提としています。コロナ後の社会で、それ以前に想定したような集客が本当にのぞめるのか。海外からの来客についてもこれまでのような想定でよいのか。前提となる社会の在りようが変わっている以上、今までの計画通りに上手くいくと考える訳にはいかないと考えます。 区民や近隣地域からの来客により地域で経済を回す、本当の意味での地域循環経済について今こそ検討するべきではないでしょうか。そうでなくても都内至る所で大型開発の計画が乱立し、集客の奪い合いという様相を呈しています。この激しい競争に加わるのか、それともコロナを経た社会の構造変化を捉え中野区独自の発展を模索するのか、岐路に立っていると考えます。持続可能性の観点からも、大規模集客のインバウンド型から、地元商店や区民とともに歩む地域循環経済へ発想の転換を行うべきです。新北口エリアのシンボル拠点については、施設の姿は民間に委ねることになるとしても、まちづくりの計画そのものに対し区は責任を負っています。区の考えをお聞きします。⑤
また、この機にあって、本当に急がなければいけない事業は何なのかという洗い直しも必要と考えます。中野駅の混雑は、命を守る観点から早急な手立てが必要です。南北通路と新改札、そして既存の南口北口においても改札機を増やすなどの検討をJR東日本と協議することを改めて求めます。他方、区役所建て替えやシンボル拠点については駅の混雑解消ほど急ぐ必要はありません。急ぐべき事業に力を集中させるためにも事業ごとの優先順位づけを検討すべきではないでしょうか、伺います。⑥
▼新井薬師前駅のにぎわいについてもお尋ねします。西武線地下化の計画については、当初の予定よりもおよそ6年遅れることが示されています。コロナ禍もあり、それ以上の遅れも懸念されるところです。新井薬師前駅の南側では、地下化に合わせて設置が計画される交通広場の用地買収に合わせて転居廃業した商店があります。既に撤退したパチンコ店のところは歯抜けになっている状況です。現在残っている店舗、撤退を予定していた店舗に対し、この先について区はどのようなアナウンスをしているのでしょうか。⑦また店舗側の意向はどうなっているでしょうか。②
そもそも工事の遅れが6年に渡るのですから、その間の駅前のにぎわいについて改めて考える必要があるのではないでしょうか。歯抜けの土地や空きテナントについて、時限的に店舗を誘致するなど活用を検討すべきと考えます。区の認識はいかがでしょうか。⑧
併せて、工事が遅れるこの6年あまりの間の臨時的な踏切対策についても手を当てる必要があります。西武線の他の駅の踏切と同様、バス通りであるのに踏切前後の道路幅が十分でなく歩行者自転車と車両の錯綜の危険が以前から指摘されていますが、特に新井薬師前駅の場合は、踏切の南側 およそ40m先に信号があり、車両が詰まりやすい状況です。これまでの議会の質疑では、中野区としての対応が難しいとの答弁が続いていました。そうであるなら、東京都や西武鉄道に速やかに対応を求めるできです。この点の検討についてお聞きし⑨次の質問にうつります。
A.新型コロナ後のまちづくりについての項で店舗の家賃補助等についてでございます。現在、家賃補助につきましては国で制度導入を進めているところでございます。また、東京都の感染拡大防止協力金についても家賃を考慮したものとされております。こうした国や都の支援を踏まえた上で、感染拡大の状況や区の財政状況等を勘案して必要な対策を進めてまいります。
次に、商店街からの要望への対応についてでございます。商店街につきましては、事務所の新設や機能を高めるための改修等は東京都及び区の補助対象となりますが、設備の管理費など経常的な経費につきましては補助対象としないことが原則でございます。ただし、街路灯の電気料金など公共的な必要性から補助対象としているものもございます。今後も各商店街や商店街連合会との協議を行いながら必要な支援を行ってまいります。
次に、事業者の要望の聞き取り等についてでございます。区内の商店街や商店街連合会から寄せられる様々な要望につきましては、区のみならず、国や都の支援制度も含め、運用可能なものについてはその都度調整を図っているところでございます。現在のような状況下にあっては新たに必要となる支援もあると考えられますから、まずは商店街連合会等を通じて各商店街の現状についての確認等を行ってまいります。
次に、中野駅新北口駅前エリア再整備の見直しについてでございます。中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備は、再整備事業計画に基づいて、地域経済の発展や国際競争力の強化、まちの回遊性や安全安心の向上を図り、持続可能で活力のある都市の形成に貢献することとしています。こうした事業のコンセプトについて区の考え方はこれまでと変わりません。事業の詳細につきましては、事業者決定後、社会情勢等を踏まえつつ検討を進め、具体的な事業計画案を作成してまいります。
次に、中野駅周辺の事業の優先順位についてでございます。中野駅周辺では、中野駅西側南北通路、橋上駅舎整備と各地区の都市再開発事業を連鎖的に進めることによって、駅前広場、道路などの都市基盤整備や様々な都市機能を誘導し、安全安心、活力あるまちを実現するものでございます。したがって、特定の事業にのみ集中するような優先順位づけを行うことはなく、各地区のまちづくりにトータルに取り組みながら目指すべき将来像を実現してまいります。
次に、連続立体交差事業延伸情報の交通広場権利者への周知についてでございます。新井薬師前駅周辺につきましては、延伸決定後、直ちに沿線の町会や駅周辺の商店会の会長などへ情報提供するとともに、区報及び区ホームページなどにより広報を行っております。区画街路第3号線の交通広場整備に係る各権利者への延伸に係る情報提供は、新型コロナウイルス感染拡大に伴って用地取得交渉が休止されている状況から現在のところ行われておりません。今後再開する用地取得交渉の中で延伸に係る情報提供も行っていきたいと考えております。
次に、権利者との交渉についてでございます。今まで店舗経営者と一通り交渉を行っておりまして要望を聞き取っているところでございます。緊急事態宣言以降は店舗経営者と交渉は行っておりません。中野区画街路第3号線、交通広場の事業期間は令和5年3月末となっており、連続立体交差事業の延伸にかかわらず事業の完了を目指しております。今後も引き続き各権利者の意向を酌み取りながら事業期間内の整備を目指してまいります。
最後に、連立事業期間延伸に伴う東京都等への対策の要請についてでございます。東京都及び西武鉄道からは、駅構内を鉄道利用者以外の方が迂回路として活用することにつきましては、連続立体交差事業に係る様々な工事が進められていることから、その実施は困難であると聞いております。中野区としては、変更された事業期間の中で抜本対策である連続立体交差事業が完成できるよう必要な協力と支援を行っていく考えでございます。
4.コロナ禍における受動喫煙の問題について
コロナ禍における受動喫煙の問題について伺います。日本呼吸器学会は、臨床データに基づき、電子タバコを含む全ての喫煙が「新型コロナウイルス肺炎」重症化の最大のリスクであると警告しています。また、喫煙所そのものが3密の状態であり、濃厚接触の場であることも指摘しています。日本禁煙学会も同様の指摘を行うとともに、インターネットで公開された、タバコが新型コロナウイルス感染症に対して予防や治療の効果があるとする論文については科学的な根拠がなく、このような論文の結果に惑わされてはいけないと注意を促しています。そして、世界で最も権威のある医学誌 「The New England Journal of Medicine」 では、喫煙者では人工呼吸器が装着される、または死亡するリスクが非喫煙者の3倍以上であることや、78の入院症例から喫煙歴があると非喫煙者に比べ14倍も肺炎が重症化しやすいことが報告されています。さらにイタリア呼吸器学会は、感染から回復した人の3割に呼吸器疾患などの後遺症が生じる可能性があるとしており、受動喫煙がせっかくの回復者の健康を大きく損ね、ともすれば命を奪いかねないという懸念にもつながります。
この4月より受動喫煙防止法が施行となり、公共施設や屋内では全面禁煙となりました。その反動か、区内いくつかの場所で、近隣のみなさんによる独自の屋外喫煙スペースのようなものが生まれています。このコロナ禍における受動喫煙の危険は、命の問題と捉えるべきで、受動喫煙防止法を超える規制が必要ではないでしょうか。そこで伺います。命を守る観点から、コロナ感染における喫煙のリスクについて区民に周知を図るとともに、こうした独自喫煙スペースについて何らかの指導を行うべきと考えますがいかがでしょうか。①また、区役所北側の特定屋外喫煙所と中野駅ガード下の公衆喫煙所において、新型コロナとの関わりでこれまでの方針を再検討すべきと考えます。少なくとも、特定屋外喫煙所では7人までという制約があるのですから、ガード下の公衆喫煙所についても同様の規制は最低限 検討すべきではないでしょうか。②この点も区の見解をお聞きします。
A.喫煙による新型コロナ感染と重症化のリスクについてのお尋ねでございますが、新型コロナウイルス感染と喫煙のリスクについては、お話がございましたように、日本呼吸器学会等の専門家が指摘をしていることは十分に承知をしてございます。区といたしましては、望まない受動喫煙による健康被害を回避することを目的とし、令和2年4月1日に全面施行された改正健康増進法や東京都受動喫煙防止条例に基づいて受動喫煙防止に関する制度の周知、普及啓発などの対応は継続してまいります。
コロナ禍における受動喫煙問題についての御質問のうち、公衆喫煙所における新型コロナウイルス拡大防止対策についての御質問にお答えをいたします。区では、新型コロナウイルス拡大防止のため、喫煙所において三つの密を避ける行動や命を守るステイホーム週間、人と人との間隔を約2メートルあけるソーシャルディスタンスを保つことを求める啓発ポスターの掲示を行ってきたところでございます。今後もこれらの啓発を継続して行っていきたいと考えてございます。
<再質問>1点だけ再質問をいたします。コロナ禍の受動喫煙の問題についてというところで、近隣の皆さんが独自に作ってしまった喫煙スペースについての何らかの指導というところを求めましたが、この点について改めての答弁を求めます。
A.お答え申し上げます。御指摘のございました自動的とか自発的に喫煙スペースを作ってしまった方、夜間にそういった場所があるというような認識はしてございます。なかなか難しい点はあるかと思いますが、ただ、様々な形での広報や情報提供、それから、東京都では子どもに対してのやはり受動喫煙の防止条例というふうなものも既に施行されてございます。こういったことへの協力というものの普及啓発もございますし、それから様々な地域を通じた会合などを通じて地域の方に浸透させていく中で広く区民の方の御理解を頂きたいというふうに考えてございます。
5.その他
▼その他で2点お聞きします。最初に中野本郷小学校建て替えに伴うスクールバスの運行について。昨年12月9日に行われた「中野本郷小学校改築推進委員会」の議事録の中に、スクールバスの運行について「体力的にも特に配慮が必要と考え、1年生、2年生ぐらいが対象だと考えた」との事務局側の発言がありました。スクールバスの運行については、近隣の保護者より「対象が低学年だけと聞き心配」と、バスの運行についての懸念の声をいただいていました。全学年を対象としないというのは保護者の理解を得るのは難しいのではないでしょうか。
また、他の委員から 「この建て替えにおいてスクールバスを運営できないという判断になった場合、歩いて通うことが大変だから指定校を変えてほしいと申し出たとしても、後から指定校は変えられないのか。」という疑問の声もありましたが、これに対し事務局は「現行ではその通り」と答えています。旧向台小を仮校舎として建て替えを検討する中野本郷小への入学ならばスクールバス運行が前提、スクールバスがないなら桃花小を検討したいが、現状ではバスについて何も決まっておらず判断できないということです。
そこで伺います。中野本郷小学校の建て替えについては、全ての児童を対象としたスクールバスを登下校で実施することを早急に決めるべきです。① 併せて、クラブ活動などで帰宅時刻が遅くなる児童を事件や事故から守る取り組みについても早急に検討すべきと考えます。区の認識はいかがでしょうか。②
この問題では、保護者の方による「中野本郷小スクールバス運行に向けて」というブログが立ち上がっています。学区域の保護者の皆さんにとってスクールバスは非常に大きな関心事となっています。保護者に寄り添い児童を守る真摯な対応を求めます。
▼その他の二番目で、自殺対策について伺います。今年度予算に盛り込まれ計画されていた自殺対策審議会などが中止の方向となっています。しかしコロナの影響で自殺が増える懸念は多くのメディアや専門家が指摘するところです。エコノミストの島澤諭氏は、2020年度はおよそ1万人~1万7千人の自殺増を推計しています。倒産、廃業、失業、解雇、雇い止めの横行は既に表れており、経済的困窮による自殺増の懸念は増大するばかりです。新型コロナによる社会的・経済的影響を重く捉え、本年度予算に盛り込まれている3つの自殺対策、自殺対策審議会、ゲートキーパー養成研修、自殺対策事例検討会は中止でなく開催すべきではないでしょうか。伺います。③
A.その他の項のうち、中野本郷小学校建て替えに伴うバスの運行についてお答えいたします。 中野本郷小学校の改築に当たっては、改築推進委員会を設置いたしまして、保護者や地域の皆様の御意見を頂きながら課題を整理しているところでございます。スクールバスの運行については、利用対象者の範囲のほか、乗降場所や運行経路、時間、便数、経費などについて精査が必要でございます。待合場所での児童の安全対策や感染症対策などの課題もあると考えております。通学路の安全対策についても、どのような取組が考えられるか、今後併せて検討を行い、仮校舎移転に際しまして地域、保護者に十分な説明ができるよう方針を明らかにしてまいりたいと存じます。
もう一点、自殺対策審議会についてのお尋ねがございました。区の自殺対策は、平成30年度に審議会を設置いたしまして、昨年度、中野区の自殺対策計画を策定してまいりました。加えて、新型コロナウイルスの影響で自殺に傾く人や心のケアが必要な方が増加するという蓋然性も認識をしてございます。国は自殺対策を強化するようこの間通知を発出しており、区においても自殺対策審議会は開催をする予定でございます。また、お話の自殺対策事例検討会は5月に実施をしており、ゲートキーパー養成研修につきましても適切な感染防御対策を講じた上で12月に開催を予定しております。