少し長いですが、2017年第1回区議会定例会での私の質問全文を掲載します。
<数字>から始まる下線部分が質問です。
1.保育園について
(1)待機児童問題
まず最初に、待機児童の問題についてお尋ねします。ちょうど1年前、「保育園落ちた日本死ね」のブログが国会で取り上げられて以降、ツイッター上で「保育園落ちたの私だ」というハッシュタグを使った不承諾の実態の共有や国会前の抗議行動の盛り上がりの中、様々なメディアを通じ、待機児童問題が大きく取り上げられてきました。あれから1年が経って待機児童問題はどうなったのか。ツイッター上では今年も「保育園おちた2017」「保育園に入りたい」などのハッシュタグで、不承諾だった保護者のみなさんの悲しみと怒りの声が巻き起こっています。この中には中野区在住の保護者の方のつぶやきもありました。
中野区においても、この数年で保育ニーズが急増しています。認可園の申し込み数は2013年460件だったものが2016年には750件となっています。
<1>最初にお聞きします。新年度の保育園一次募集での応募数、「保育所等利用保留通知書」の送付数、新年度の待機児童見込み数はどうなっているでしょうか。
さて、待機児童の問題では、潜在的待機児童、いゆる「かくれ待機児童」の問題も重要です。わが会派の広川議員、浦野議員とかくれ待機児童を明らかにすべく質問を繰り返してきました。特に、昨年の浦野さとみ議員の質問では、特定園を希望したけれど入れなかったのは何人か、育休を延長したのは何人かと一つ一つ聞いていって、当区において公表された待機児童数257人に対し、かくれ待機児童まで含めると644人、2.5倍であることが明らかにされました。そしてこの質問の直後には、厚生労働省によって、全国の隠れ待機児童の実数が明らかにされています。日本全国で6万5千人以上、都内だけでも1万9千人、この数字は新聞各紙によって衝撃とともに報じられ、これも大きな話題となりました。保育新システムにより待機児童の数え方が変わり、数字上待機児童が減ったように見えるようになった訳ですが、いよいよそういうごまかしがきかない状況になっているという証に他なりません。
ここでお聞きします。 <2>待機児童数を公表するにあたっては、潜在的待機児童数についてもあらかじめ公表すべきと考えますがいかがでしょうか。昨年すでに厚労省により公表されているのですから、新年度についてはきちんと数字を明らかにすべきです。
さて今月初旬、内閣府より、子ども・子育て支援計画の中間年見直しの考え方の手引きが各自治体へと送付されています。この手引きには、各自治体の待機児童解消の見込み数について、実態との解離をどうするかという記述があります。10%以上の解離がある場合は見直しをしなさい、ということになっています。当然計画を見直す必要があると考えますが、目標の方を引き下げるという訳にはいきません。待機児童解消に向けた本気の取り組みが求められています。保育園の民間事業者誘致が上手くいかなかったことについて区は「物件がない、保育士がいない」という理由を挙げています。しかし根本の問題は、民設民営という方針により、保育事業そのものを民間に丸投げする姿勢にあるのではないでしょうか。事業者に任せきりにするのでなく、区が、本来の公的責任を果たすことが必要です。
東京都においては、「民有地を活用した保育所等整備促進税制」の導入によって保育園事業者の事業用地確保を促進する方針が示されました。事業者が土地を確保しやすくするための税制軽減措置として評価はできますが、これでも事業用地確保についてはまだまだハードルが高いのではないでしょうか。<3>お伺いします。保育園用地については、国や都の所有する公有地も引き続き検討しながら、一定以上の面積のある民間の土地について、区として取得することなども視野に入れつつ独自の調査をすべきではないでしょうか。お答えください。
また、色々な自治体で、待機児童解消のため緊急的な対策本部の立ち上げが進んでいます。中間見直しをしろという内閣府の意向も踏まえ、本気で待機児童解消を目指すなら、それを担当する組織をつくるべきです。<4>当区においても、待機児童解消のための専任の部署を立ち上げるべきと考えますがいかがでしょうか。
(2)保育士確保策
次に、保育士の確保策についてお尋ねします。中野区においても、事業者に対する宿舎借上げ補助、就職準備資金などの保育士確保策を準備検討しています。保育士不足が大きな問題となっている昨今、どの自治体も保育士確保のために独自の策を打っている状況です。他の自治体と比較し見劣りがするようでは保育士に選んでもらえない、この「保育士の取り合い」とも言える状況でどうすべきでしょうか。目先の問題としては勿論必要な数の保育士を確保するための手を打たなければいけません。しかしその上で、持続可能な保育行政を運営するためには、確保した保育士に中野区で働き続けてもらう必要があり、保育士の待遇そのものを向上させていかなければいけません。確保策と待遇改善はセットでなければ安定的な保育行政を進めていくことができないということです。
<1>そこでお尋ねします。東京都では来年度より、保育士の直接的な給与補助について月額2万1千円上乗せし4万4千円とする方針を決定しています。しかしこれでもまだ他業種との賃金格差が残ります。中野区として、さらに独自の上乗せをする仕組みを検討すべきと考えますがいかがでしょうか。
そもそも論として、保育士確保策で自治体間の競争がおきるほど保育士が不足する原因は、保育士の待遇が他の業種に比べて見劣りするからに他なりません。続けたい気持ちがあっても生活ができない、仕事を続けられない、こういう実態に耳を傾ける必要があります。この間私が取材した若い保育士からも、「生活が苦しい、親元を離れられない」「一人暮らしを始めてみたものの、週末に呑みに行ったり休日に遊びに行ったりできなくなった」という声を聞いています。保育士の持っている仕事へのモチベーションは非常に高いと感じています。そんな保育士が、子どもの命を預かるという責任と給与が見合わないと辞めていく。これは社会的な損失ではないでしょうか。他の業種にくらべ10万円の格差があると言われている保育士の給与を上げる必要性については論を待ちません。
しかしもう一点、保育士の長時間労働についてはなかなかスポットが当たりません。保育士配置基準については長年見直しが無い中、書類などの雑務も増えており、配置基準の想定する労働時間と実態との乖離が生まれています。タイムカードを打刻してからの業務や、ふろしき残業をしているという違法労働が疑われる実態も聞き取っています。この長時間労働の直接の原因は、恒常的な人員不足にあります。保育士を定着させ、潜在的保育士に再び現場に戻ってもらうためにも、保育士配置基準を見直して業務改善につなげ、より多く子どもに向かい合う時間を保育士に確保していくことが求められています。給与の改善と保育士配置見直しを同時に行ってこそ、保育士が持てる力を発揮して質の高い保育を行い、長く続けることで高い保育の質を保つ好循環がうまれるのではないでしょうか。
<2>特別区において保育士の給与と配置基準を決めているのは都区財政調整制度です。この基準の抜本的な引き上げを、区長会を通じ都に求めるべきと考えますがいかがでしょうか。
(3)民営化問題
次に、民営化の問題についてお尋ねします。今区が進める民営化方針は、昨年4月に策定したばかりの「10ヵ年計画(第3次)」にも記されていない、突如として示された計画です。余りの唐突さに多くの父母のみなさんから不安や疑問の声があがっています。これまでの民営化の進め方にも無かった仮設園舎と同時の民営化施策に、「せめて仮園舎は公設公営で運営をして欲しい」という声も広がっています。なぜこんなに民営化を急ぐのか。その理由の一つには、区職員を増やしたくないという区側の事情があるのではないでしょうか。これまで区は、区立園の保育士が退職したあとには、補充をせず民営化を進めてきました。しかし定年退職者などが多すぎて保育士不足になり、本年度8人、来年度15人と保育士を採用することになりました。定年退職などによる保育士不足が今後も続くとさらに採用をしなければいけなくなります。<1>ここに、とにかく性急に民営化を進めたい、仮園舎の段階からでも民間事業者に委ねたいという区の動機があるのではないでしょうか。見解をお伺いします。
区は、民営化方針の理由について「多様なニーズに対応するため」と答弁しています。多様なニーズに対応することがなぜ区立園の民営化なのでしょうか。過去には、保育ニーズが延長保育に集まっていた時期もありました。民間園ではすぐに延長保育に対応したため、この時期は民間園を求める声が少なからずあったのは事実です。しかしながら現在は、区立園でも延長保育を実施しています。その他、特色ある保育方針などで民間園を求める声もあるにせよ、区立園を民営化する理由として「多様なニーズに対応するため」は成り立たなくなっているのではないでしょうか。
2015年1月に日経DUALという雑誌が行った調査では、9割の保護者が公設公営の認可保育園が第一希望だと回答しています。中野区においても大きな差があるとは考えられません。多くの方が区立園を求めていることに、区は真摯に向き合うべきです。行政都合を押しつけるのでなく、保護者のみなさんの願いに応えること、子どもの健やかな成長を第一に考えることこそ行政の責任ではないでしょうか。
<2>お尋ねします。民営化ありきの保育行政を根本から改め、公設公営の区立保育園によって中野の保育の質を担保しながら待機児童問題を解決するべきと考えますがいかがでしょうか。現在の拙速な民営化は一度立ち止まり、区立園についてはそのまま残すべきです。
2.防災について
(1)雨水対策
次に、防災についてお聞きします。まずは当区における雨水対策です。当区における雨水対策の中でも力を入れている河川の対策においては、各河川での拡幅、調節池整備も進んでいます。
一方、河川に流入する前の地面の雨水対策は充分とは言えないのではないでしょうか。年々激しさを増している雨の対策は待ったなしです。気象庁の研究チームが過去118年間の観測データを使い、東京における夏の夜、6月から8月の午後5時から11時の短時間降水量を調べたところ、期間全体で100年あたり約50%の割合で増加していること、他の時間帯や季節では同様の傾向はみられなかったことが分かったそうです。また、最近30年間のデータ分析では、東京都心の夏の夕方における降水量は周辺地域より30%以上多くなっています。アメダスでみた短時間強雨の発生回数では、統計を取り始めた1976年以降、1時間降水量50mm、80mm、どちらの回数も増えていますが、時間あたり80mmの方がより急激な増加傾向を示しています。都心部において、強雨の回数が増えながら、一度の降雨量も多くなっていることがこれらのデータから見て取れます。
こういった都市環境の激変を受け東京都は、雨水対策について下水でも河川でもこれまでの時間50mm対応を時間75mm対応と水準を引き上げることになっています。中野区ではこれまで道路面の雨水対策として、区道において部分的に透水性アスファルトの施工を試みたものの、耐久性の問題から通常のアスファルトに戻し、代わりに路面下に埋設する新しい雨水貯留施設を整備するよう、防災計画を刷新することとなっています。この計画は、50年かけてすべての区道の舗装をやり直し、その際にこの新しい雨水貯留施設「レインステーション500」の整備を進めるというものです。この計画についてお尋ねします。
舗装面の地下に雨水貯留施設を儲け河川への流入に時間差を設けるのは雨水対策として有効な施策であることは認識しています。しかしその事業を50年かけて行うということについては大きな疑問があります。一般的なアスファルトの耐用年数が50年であることから、舗装を直すという観点で50年でのサイクルを想定しているものですが、風水害が50年の間待ってはくれる訳ではありません。先ほどもの述べたように、都心部でのゲリラ豪雨は目に見えて激しくなっています。<1>アスファルトを直すついでに、という考え方を改め、防災の観点からも迅速に雨水貯留施設の新設を進めるべきと考えますがいかがでしょうか。
また、この計画は、区道に対してのものです。区内の道路面積の24%を占める私道部分が置き去りにされています。都道を除く区内道路のうち1/4には対策が取られないとしたら、せっかくの区道の雨水対策も十分な効果が発揮できないのではないでしょうか。
そこでお伺いします。<2>道路における雨水対策に私道部分で穴をあけないためにも、私道についても具体的な対策が必要と考えます。区の見解をお示しください。
次に、建築物の敷地における雨水対策についてお聞きします。現在中野区には、一定程度以上の建築物に対し、その申請の際に「雨水流出抑制施設設置のお願い」という要綱を事業者に対し渡しています。敷地面積300平米以上500平米未満の建築計画では2t、500平米以上1000平米未満では3t、それ以上では6tの雨水をその敷地面積で処理してもらうというものです。この要綱はあくまでお願いであって拘束力があるものではありませんが、現時点でも8割程度の協力を得られているとお聞きしています。
逆に言えば、2割は協力してくれない事業者がいるということです。事業の性質から、これは100%の完全実施をめざすべきと考えます。<3>お尋ねします。業者間の不公平をなくし、雨水流出抑制施設の100%設置のためにも、行政として、制度を変え、強制力をもちながら補助金などで雨水流出抑制施設設置を支援する仕組みが必要ではないでしょうか。事業者の善意頼みでない、計画的な雨水対策が必要です。お答えください。
次に住宅地の雨水対策についてお聞きします。宅地については「雨水ます」によって雨水の流入に時間差をつけるのが一般的です。雨水ます普及のため、近隣の杉並区、練馬区では本年度も上限40万円の助成を行っています。<4>中野区では、平成12年度に都の「雨水浸透施設助成制度」がなくなったタイミングで、それまで区として行っていた助成事業をやめてしまっていますが、都の助成制度そのものは平成19年度に復活しています。であるならば雨水浸透桝などの区の助成事業を復活すべきではないでしょうか。
(2)地震対策
次に、感震ブレーカーについてお聞きします。感震ブレーカーについては、会派としてこれまでも議会で取り上げています。地震発生後の通電火災を防ぐ有効な手立てとして普及が求められています。この普及のため、中野区では業者と提携し感震ブレーカーのあっせんを行っているところですが、これまで申し込みがあったのが46件、うち契約に結び付いたのが43件と、火災を防ぐために必要な普及率が7割ともいわれる中、普及にはほど遠い状況です。結局これは、あっせんという方法そのものが上手くいっていない、ということではないでしょうか。23区の他の自治体では、感震ブレーカーの機器代金を区が負担する助成制度の創設が進んでいます。<5>一日も早い感震ブレーカーの普及のため、中野区でも助成制度を創設すべきと考えます。答弁をお願いします。
3.子ども施策について
次に、当区の子ども施策、今回はU18プラザについてお聞きします。U18プラザについては本年1月の子ども文教委員会にて、3か所全て平成29年度中に廃止する方針が示されました。近隣住民の皆さんにとってはまさしく寝耳に水で、今でも多くのみなさんがU18プラザ廃止方針に怒っています。そもそもこのU18プラザというものは、児童館廃止方針の中から、その後の施設利用として登場しましたが、小学生はキッズプラザへ、乳幼児と中高生がここを利用するという運営形態には当時から疑問の声が上がっていました。しかしながら、現場職員や地域のみなさんの奮闘の中、中高生も様々に利用していることは区も承知しているはずです。バスケットボールや卓球などのスポーツの利用は日常的に行われています。テスト前には自主的な勉強会、時には高校生が中学生を教えたり、地域の退職教員の方がサポートしたりということもあります。U18を通じ、地域のボランティア活動にも参加をしてもらっています。こうした高校生の活動の拠り所であるU18プラザをなぜ廃止するのでしょうか。
区は、中高生の事業の代替えとして「中高生育成支援事業」を新設するとしています。しかしこの内容は、中高生に対し様々な仕事のプロがその道を説く、というような内容です。この事業そのものを否定するものではありませんが、今現在のU18プラザにおける中高生の利用実態とはかけ離れており、これが代替えであるとはとても言えません。利用実態を踏まえれば、拠り所となる場所、何らかの建屋が必要なはずです。
区は、U18プラザ廃止にあたり、施設利用者に対して説明会を行うとしています。しかしながら、この説明会は廃止を前提としたもので、近隣住民のみなさん、利用者のみなさんの理解を得られるかといえば甚だ疑問です。何より、追い出される格好になる中高生はどんな思いでいるでしょうか。<1>このU18プラザ廃止方針は、地域のみなさん、利用者のみなさんの納得と合意を得るプロセスが不十分であると考えます。区の見解をお伺いします。
そもそもこの問題は、区内の児童館をすべて廃止するという方針から出発しています。U18プラザについては事業としては小学生の利用は想定していませんが、実際には多くの小学生が利用しています。特に高学年になるとキッズプラザでなく児童館を利用する児童が多いのもわかっています。児童館やU18プラザがなくなると、高学年の子どもたちはどこへ行くことになるのでしょうか。ともすれば、親や地域の目の届かない場所へたむろし、犯罪に巻き込まれるという事態にもなりかねません。
親世代にとっても、児童館は地域の子育てセンターとして機能してきました。他の学校の児童や異年齢の交流は、子どもの社会性を形成することにも寄与してきました。児童福祉法40条に規定される児童福祉施設の一つである児童館を廃止する道理がどこにあったのか、このことが改めて問われるのているのではないでしょうか。少なくとも<2>現在のU18プラザ廃止計画については立ち止まって見直すべきと考えますがいかがでしょうか。
4.住宅問題
次に、住宅の問題についてお尋ねします。今月初旬、住宅セーフティネット法の改正が閣議決定されました。今回の改正では、高齢者、低額所得者、障害者、子育て世帯等の「住宅確保要配慮者」のより円滑な住宅確保のため、新たな仕組みが様々用意されました。その中でも注目しているのが「居住支援協議会」です。地方公共団体、不動産関係団体に加え、新たにNPO団体の協議会への参加も示されています。現在中野区には「居住安定支援事業」という、不動産業者と連携し、高齢者、障害者の住み替えを応援する仕組みがあります。しかし、住宅確保要配慮者への着実な住宅供給のために、事業者だけでなくNPOが加わることには、これまでにない大きな意味があるのではないでしょうか。住宅確保要配慮者に対し、法改正の理念に基づく福祉的な対応を担うのがNPOの役割だと考えます。
<1>そこでお聞きします。当区としてもこの法改正閣議決定を受け、新たな住宅セーフティネット制度を創設し、住宅政策に関わるNPO団体にも参画を呼びかけ、居住支援協議会を構成すべきと考えますがいかがでしょうか。
続けてお聞きします。この法制度改正の中で、住宅確保要配慮者の入居のハードルを下げるため、家賃の低廉化に要する補助も新設されました。この補助は最大4万円の家賃を助成するもので、国庫から1/2、都から1/4の特財が期待できます。これまで区は、いわゆる家賃補助についてはいかなる年齢であっても行わないとの答弁をしてきましたが、<2>法改正における制度創設の趣旨を鑑み、また、国や都からの補助金を望めるという情勢の変化を受け、当区でもこの事業を開始する必要があると考えますがいかがでしょうか。
「住まいは人権」という言葉があります。日本国憲法25条からも、世界人権宣言や社会権規約からも、生存権として居住の権利が存在することは疑いがありません。1996年 第2回国連人間居住会議(ハビタットⅡ)において採択されたイスタンブール宣言は日本政府も署名しています。この宣言には「適切な居住への権利」は基本的人権であると明記されています。
下流老人、若者の貧困、共働きやひとり親の子育て世帯の困窮など、世代を越えて貧困が拡大している中、そういった困難な状況からすくいあげる切り口として住居確保をどうするのか、まさしくここに行政の責任が問われています。
<3>お尋ねします。住民の居住権に責任を負う行政として、住宅確保要配慮者を念頭に置いた区営住宅の新設を検討すべきと考えますがいかがでしょうか。<4>また、東京都に対しては石原都政以降新設されていない都営住宅の拡充を求めるべきと考えますがこの点はいかがでしょうか。<5>加えて高齢者向け住宅、障害者向け住宅についてはまったなしの状況です。自立した生活を営んでもらうためにも、ここには特に力を入れ、国や都に必要な支援を求め、優先して増設につとめるべきと考えますがいかがでしょうか。答弁をお願いします。
住宅問題でもう一つお聞きしたいのが、アパートマンションの崩壊・スラム化の問題です。マンションのスラム化とは、住民の高齢化などが原因となる管理不全状態を指す言葉です。住民の高齢化などによって組織率が下がり管理組合が運営できなくなる。これにより共用部分の維持管理が困難化し、ゴミが散乱する、エレベータが止まる、廊下の電灯も点かないなどの状況になる。さらに空き部屋が増え、退去者が増え、コミュニティが崩壊していく。このような住環境の悪化を招くことになります。
このスラム化を起こさないようにするには、管理組合を立て直し共用部分の管理体制を整えるとともにコミュニティを保全することです。住宅セーフティネット法の中で空き家や民間賃貸を活用することが強調されている理由は、集合住宅に空きをつくらないことによって地域の住環境を維持したいという政府の意図があるように思えます。
<6>そこでお伺いします。区が、制度を利用して入居した住宅確保要配慮者とともに当該物件の管理組合に積極的に関わっていくことで、良好な住環境を維持しコミュニティ崩壊・スラム化を防ぐ。法改正の意を汲みここまでをパッケージとした事業展開について検討をすすめるべきと考えますが、いかがでしょうか。
地域コミュニティの保全、中野区の地域力向上という点からも、住宅セーフティネット法改正を根拠とした住居確保策には大きなメリットがあると考えます。前向きな答弁をお願いします。
以上を持ちまして、全ての質問を終わります。nenn