第1回定例区議会 予算審議後の本会議(3/12)において、2017年度予算に反対しました。中野区議団を代表して私が反対討論を行いました。以下にその全文を載せます。
※写真の僕は大変姿勢が悪いですが、原稿台に手をついて討論しているので実際姿勢が悪いです。それと前ボタンがはじけ飛びそうですがここだけの内緒にしておいてくださいまし。
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2017年度予算反対討論
上程中の第6号議案 平成30年度中野区一般会計予算、第8号議案 平成30年度中野区国民健康保険事業特別会計予算 及び第10号議案 平成30年度中野区介護特別会計予算の3議案に対し、日本共産党議員団の立場で一括して反対の討論をいたします。
安倍政権は、金融緩和によって経済の好循環が生み出されるとしてこれを推し進めてきましたが、円安と株高によって大企業や富裕層には巨額の利益をもたらしたものの、実質賃金、家計消費ともマイナスです。2012年と比較し2016年は実質賃金は年額で16万円マイナス、GDPの6割を占める家計消費も22万円マイナスと、好景気の実感など庶民にはありません。2017年はここからさらに0.2ポイントのマイナスとなっています。
今年度実施している日本共産党議員団の区政アンケートでは、生活状況について、悪い状態で変わらないと答えた方が38%、悪くなったと答えた方29%と2/3以上となっています。アベノミクスがもたらした痛みは、区民とってはもう限界まできています。税、医療費、保険料の増大とあいまって家計に深刻なダメージが及んでいる中、この予算案が区民のくらしを守れる内容となっているのかどうかが問われていました。わが会派としても、区民の切実な願い実現のために予算原案の撤回と再提出を求める組み替え動議を提出いたしました。
第6号議案 一般会計予算に反対する理由として以下3点について述べます。
第一に、今年も駅前再開発偏重の予算となっていることです。中野駅周辺まちづくり関連では今年度24億円余が計上されています。まちづくり基金へは11億円を積み増し、繰入金は5億7千万となっています。
大規模再開発については、少子高齢化が進み生産人口が減少していく中、これを見極めた上で財政負担のあり方、環境負荷、あらには区民の暮らしの視点から検証することが必要です。駅周辺再開発の目玉、サンプラザ建て替えと1万人規模のアリーナについては、巨大な集客施設が駅前に必要なのかと、区民の疑問は大きくなりばかりです。区民が願っているのは、来街者のための施設ではありません。
この開発優先の姿勢が区財政を歪めています。基金については、来年度予算では繰入金を191億円おこなう一方、基金積立金は100億円の積み増しをおこなうことにしています。うち、義務教育施設整備基金への積立は56億円です。区長は施政方針説明の中で「行わなければならない校舎の建て替えについても、当面5年間は基金を活用することで借入なしでも実行可能」と述べられました。もともとの10か年計画での「起債・基金を活用する主な事業」で示していた想定を改めたわけですが、将来にわたる区民財産の整備にあたって起債をおこなうことに何ら問題はありません。学校の建て替えについては当面起債発行をしないとしたのは、同じ時期に中野駅周辺の大規模開発など、起債発行が目白押しになることが想定されるからだと考えざるを得ません。
第二に、区民要求との関わりで不十分な予算であるということです。
本予算では、就学援助の入学準備金前倒し支給、重症心身障害児への支援拡充、指定管理者環境モニタリング、5・6年生のバス代補助復活などは評価いたします。
しかし、保育施策は深刻な事態となっています。昨年度本年度と保育の定員増は当初目標の1/3の達成でした。会派としても、民間丸投げでは解決できないと再三再四指摘してまいりましたが、今年度もこの方針が基本的に変わりませんでした。
2018年4月入園に関する1次募集の結果は、申込数2222人で前年1次比24人増、不承諾数は985人と52人増です。待機児童が増加し益々保育ニーズが高まる中、区立保育園を民営化していることも問題です。例えば大和保育園やその後の大和東保育園の建て替え民営化に至る民間委託で代替地として活用する都有地(旧大和母子住宅跡)などは、民間の認可保育園誘致にこそ活用を図るべきであったといえます。公有地の活用と共に、区立保育園の増設が待機児童解消には一番の政策であることは疑いがありません。
防災対策についても、いずれ遠からず来ると言われている直下型地震への備えとして、感震ブレーカーの設置補助や木造住宅耐震リフォーム助成の速やかな実施が求められていました。
会派として組み替え動議で求めた精神障碍者への福祉手当支給については、全会一致で陳情を採択しているにも関わらず2年以上放置されています。
第三に、区民と共に歩む姿勢が見られない予算編成でした。
区は、平和の森公園での運動施設建設において、みどりの基本計画に基づく区民アンケートを実施していません。近隣住民が中心となって行ったアンケートでは9割の方が反対です。哲学堂公園の児童遊園部分の施設建設についても、住民説明会や意見交換会では9割の方が反対です。区民の声がどこに活かされているのか、こういう声が噴出しているにも関わらず、工事を推し進める予算となっています。
平和の森公園の問題では、複数の陳情が提出され、住民監査請求が起こり、住民訴訟にまで至っています。哲学堂の問題でも陳情が出され署名運動が広がっています。なぜこのような事態となったのか、真摯に受け止める姿勢が見られませんでした。
以上3点から、今年度においても開発ありきの予算編成であり、財政も住民自治も歪められていると断じざるを得ません。
次に、第8号議案 国保特別会計予算について反対の理由を述べます。
区は広域化に伴う激変緩和措置として、値上げの期間を、都の示す国保運営方針である6年間よりも長い9年間にするとしています。区民への影響を鑑みての措置であることは理解できますが、支払う側の区民にとっては今後9年間値上がり続けるというもので、これまで15年の連続値上げと併せ、被保険者を追い詰める事態となりかねません。区の持続可能な制度との説明は、加入世帯の1/3が滞納となっている現実を見ても既に破綻をしています。制度の抜本的な見直しを国に求めるとともに、当面は一般財源の繰り入れを増やして区民生活に影響がでないようにすることが肝要でした。
次に、第10号議案 介護特別会計予算について反対の理由を述べます。
中野区は来年度から始まる第7期介護保険事業計画において、介護給付費準備基金を12億円取り崩し、保険料基準額を今期より736円増の68,709円とすることが示されました。しかしあと2億円を繰入れば、わずかながら値下げとすることができました。制度が変わっていく中、利用者からは、認定が低く出る、施設に入れない、満足なサービスが受けられないなど不満の声が上がり、事業者からも事業継続が困難との声が聞こえてきます。制度そのものの信頼が揺らぐ中、値上げはしないという姿勢を区が示すことができれば、大きな意味があったと考えます。
区民の声を聴き、区民の生活を支え、区民とともに歩む区政への転換を求めまして、3議案に対する反対の討論といたします。