私はITの現場を11年ほど渡り歩いてきた人間です。プロフにもちょっと書いてますが…営業、インストラクター、企業内サポート業務、ネットワーク監視(LAN、WAN)、障害対応(ソフト・ハード、電話・オンサイト)、納品システムのキッティング、一部プログラミング(ExelVBAはMySQLと接続してニセAceessを作るところまで、他はHTML/CSSとJavaScript少し)などなど。転職2社目は企業内IT部門への請負だったので結構な数の企業へ出向き、その企業の社内システムやサーバの管理、Windowsでのエミュレータを介して汎用機やOS2、UNIX上で動く業務系にも触れました。Windowsは3.1以降、OfficeやIPネットワークの世界はほぼ独学ですが技術的な基本事項は相応に理解しています。サポートをやっていた関係でIP Telephonyも少し分かるし、広く浅くそこそこの経験をしてきたつもりです。

と、前置きして、改めて今議論されているデジタル化の問題をどう見ているかというと。利用者である国民のみなさんの生活にどれだけ役に立つのか、甚だ疑問なわけです。そうは言ってもデジタル化の波は避け得ないし、コロナ禍ということもあり利便性を全て否定するつもりもありません。では何が言いたいのかというと、以下です。

①政治が信用できない。自民党型の利権政治の下では(大)企業の利益が最優先課題であること。(これは資本主義という経済制度そのものがが内在する”原罪”だけれど、新自由主義経済と利権政治が結びついた自民党型ではそれが先鋭的となる)

②故にIT系労働者も搾取の対象(=企業が利益を上げる対象)であり技術者が使い捨てにされてきたこと。具体的には派遣法の改悪・拡大と多重請負・違法請負の横行、現在ではSESという横文字を隠れ蓑として大手を振って『人の売り買い』が行われていること。

③ここ20年30年というスパンで現場での違法労働が常態化しており、人を使いつぶすことで業界が成り立っている関係で技術者は育っておらず、システムが大規模になるほど、公共性が高いほどトラブルになる事例が後を絶たないこと。

結論として。デジタル化は個別事業単位でコケまくると思っています。そうならないものも含め、多額の税金が投入され、それが中抜きされる訳です。超がつく非効率。これって、景気悪化の中、IT系大企業が自治体を食い物として儲けようとしているだけではないでしょうか。

と、くどくどこんなことを書かなくても現実にそうなっていますね。

「誰でも何度でも予約可能」ワクチン大規模接種東京センターの予約システムに重大欠陥

このニュース↑酷いですよね。既にTwitterなどSNSでは皆さんけちょんけちょんに言ってますね。最早「穴が空いている」などというレベルではない。学生の卒業制作プログラムの方がなんぼかマシでしょう。

ネットでは以下↓の指摘がありました。これを見ればちょっとしたバグとかではないことが分かるでしょう。納品できるレベルのものではない。欠陥とすら呼びたくない。

▼受付番号、生年月日全部デタラメでも入力できる
▼65歳未満の生年月日でも入力できる
▼未来の日付でも入力できる
▼2月31日でも入力できる
▼選択肢のラジオボタンは選択できないダミー
▼クッキーを消すとマイページに入れなくなる
▼同じ番号を入れて予約すると上書きされ先に予約されたものがキャンセルになる

ネタかどうか判断できませんでしたが、Twitterでは生年月日欄に「645年(大化1年)」と入力された画像も拡散されています。こうした指摘が次々される中、次のニュースが出てきました。

「朝日新聞出版『AERA dot.』および毎日新聞の記者の悪質な行為であり、極めて遺憾。厳重に抗議する」大規模接種の予約システム報道めぐり岸防衛相

大手新聞社などが実際に検証したことに対し、こんな逆ギレをしている訳です。あり得ません。

また、こんなニュース↓も。

違う違う、全然違う。こんな有様でデジタル庁なんて信用できるもんですか。
このワクチン予約システムにはまたも竹中平蔵氏が絡んでいるとのこと。小泉内閣時代に派遣法改悪でぼろ儲けしたことで有名な御仁ですが、今でも行政を食い物にしているのですね。
新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」が盛大にコケたのもついこの間のことです。
↑これ「日経ビジネス」です。当然財界寄りのメディアですがこの書きぶりです。
これらのレベルの低い失敗は、何故起こったのでしょうか。そして失敗のウラに何があったでしょうか。ってもう書きましたね。①②③の通りです。
ここ数日に起きたことだけでも、この先が見通せます。こういう失敗は、まだまだ続くでしょう。
そして中野区でも。4月21日にワクチン予約システムで障害が発生し全国紙で報道されました。区の担当者に聞き取りをしたところ、ほぼほぼヒューマンエラーでした。詳細は書きませんが「そのレベル?」というような話しです。
ITの現場を生きてきた人間としては当然の成り行きとしか思えません。ITは、私たちを幸せにしない。
マイナンバーなるものも、企業側があけすけに「個人情報の利用しやすさ」をメリットとして語っていることから、ロクなことにはならないと想像できます。圧倒的に足りないのは個人情報の保護規定や違反した場合の企業側への罰則です。つまり企業本位なのです。一度立ち止まろう。そして、せめてまともな政権になってから議論を再開させましょう。